咳や痰が続く患者様は各々”どんな疾患”に診断されたでしょうか?
呼吸器内科を専門としている当院には咳痰など呼吸器症状で受診される患者さん(以下敬称略)はとても多いです。
『咳や痰が続く患者様は各々”どんな疾患”に診断されたでしょうか?』を調べてみました。
※以下は咳又は痰を主訴に当院を受診した症例(2018/4/2~4/5)の集計です。
●主訴:咳痰
●咳から当院受診までの期間
2週間以内 | 30% |
---|---|
2~8週間 | 43% |
8週間以上 | 27% |
●診断の内訳
気管支喘息(又は咳喘息) | 68% |
---|---|
感冒(または感冒後咳) | 18% |
肺炎 | 2% |
結核 | 2% |
その他 | 6% |
まとめ
肺炎や結核、肺癌などを心配して来院される患者は多いですが上記のようにそれほど多くはありません。
一般的に発症してすぐ(2週間以内)の咳は風邪が、長引く咳(8週間以上)は気管支喘息や咳喘息が多いと言われています※1。
長引く咳の場合念のために胸レントゲンで肺炎、結核や肺癌等の有無を確認します。
これらの病気は決して多くはありませんが見逃してはなりません。今回肺炎1人、結核1人でした。
結核はそれほど多い病気ではありませんが、気を付けねばならない病気です※2(次回ブログは結核症例の予定です)。
※1.咳の発症時期と診断
2週間以内 | 喘息(又は咳喘息) | 54% |
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感冒 | 31% | |
肺炎 | 8% | |
2~8週間 | 喘息(又は咳喘息) | 74% |
感冒後咳 | 21% | |
結核 | 5% | |
8週間以上 | 喘息(又は咳喘息) | 75% |
COPD | 21% |
※2.世界の結核、日本の結核
結核は決して昔の病気ではなく、世界の人口の1/3か感染しているとされます。結核の多い国はアジア諸国で世界の1/2を占めています。
欧米諸国に比して日本はまだまだ結核は蔓延しており、10~20年ほど遅れていると言われています。欧米諸国が低蔓延国、日本は中蔓延国、他のアジア諸国は高蔓延国とされています。
都道府県別の結核患者発生数(2016年度)は東京が全国第一位(2340人)、結核罹患率(人口10万人対)は大阪に次いで第二位です(厚生労働省ホームページ『平成28年度結核登録者情報調査年報集計結果』より)。
結核はそれほど多くはないですが、今だ油断の出来ない重要な病気です。
- 参考・関連サイト