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咳が長引くのに胸レントゲンで異常なしと言われた…薬も効かないしどうしてだろう?

そういった症状を訴える患者さん(以下敬称略)で最も多く見られる病気は気管支喘息や咳喘息です。典型的な症例を紹介します。

患者 50歳代 女性
主訴 半年前から咳、夜間に痰がらみ
既往歴 40歳代からアレルギー鼻炎
経過

半年前から咳痰がらみ、特に夜間に多い。

近医受診しエバスチン(抗アレルギー薬)、モンテルカスト(喘息治療薬)をもらったが効いてない気がするので当院を受診した。

結果 気管支喘息を強く疑って喘息治療薬を強化し一週間後に改善した。
まとめ 本人は『まさか喘息ではないだろう。喘息治療薬をしてもまだ症状はあるし…ゼイゼイ苦しくないし』と思っていましたが、喘息を十分疑う症状がありました。

喘息を疑う症状や所見

  • 夜間に咳痰がらみが悪化する
  • 本人は全く気にしてなかったですが、夜間にヒューと呼吸の音が聞こえることがあったことがある
  • 半年間も長引く咳なのに胸レントゲン異常なし

診断

これらは喘息を疑う症状や所見です。呼気NO検査で高値(62ppb)で喘息と確定しました。

考察

  • 慢性咳痰で一番大事なことは?

    慢性咳痰を来す病気は沢山あります。長引く咳で受診される方が『何か恐い病気ではないか?』と心配されていることも多く、先ずは肺炎や結核、肺癌等危険な病気がないかどうかを確認することが一番大事です。その為には胸レントゲンが先ず必要です。

  • なぜ今まで喘息と診断されなかったのか?

    本例のように『咳が主体』の喘息は診断されないことが少なくありません。喘息患者の多くは年中ゼイゼイしておらず、本例のようにごく稀にヒューとする程度で咳痰のみが続くような軽症の方がずっと多いです。また前医の喘息治療薬があまり効かなかったことも診断に至らなかった理由だと思います。
    咳主体の喘息が喘息治療薬ですぐに改善するとは限りません。他の危険な病気をしっかり除外した上で咳喘息や喘息が疑われる場合には複数の喘息治療薬を十分に使用してやっと軽快する症例も沢山あります。本例のように呼気NO検査が診断に有用な場合もあります。