咳と痰のブログ

Cough& Phlegm Blog

長引く咳  アレルギーかも?

咳の多くは風邪だとされておりますが、咳が長引くとき…もしかしたらアレルギー性?と思うかも知れません。

アレルギー性咳とは? 

どのような時に疑い、どんな病名になるのででしょうか?

アレルギー性咳とは? どういう時に疑うの?

まずは「アレルギーとは通常それほど害のない異物(※1)に対する免疫反応」と言います。

例えば花粉や冷気、埃(ほこり)などに対して目のかゆみ、鼻水、皮膚炎を来す方がいます。いわゆる「アレルギー性結膜炎」、「アレルギー性結膜炎」、「蕁麻疹」と言われ、花粉に対するアレルギーは「花粉症」と言います。

 

毎年季節変わり目や冬、あるいは台風や低気圧、花粉症の時期に咳が続く方もいます。他にも煙やペットの毛、埃などを吸い込むことで咳が出る場合もあり、また風邪やコロナ、インフルエンザなどに罹(かか)った後いつも咳が長引く、鎮咳薬がいつも効かないといったときには、アレルギー性咳(※2)かも知れません。

 

★アレルギー性咳を疑う症状

 ・毎年同じ時期/季節に咳が続く    …花粉症がスギ花粉の時期に長引くのと同じイメージ…

 ・通常無害なものに咳が出る

      (例.冷気、寒暖差、埃、ペット毛) …掃除の後に咳や痰からみ等

 ・走った後や会話で咳出る        …気道が過敏になっているので吸気の刺激で咳が出ます

                           中距離走などで出やすい(運動喘息と言われる)

 ・風邪の後しばしば咳長引く       …花粉症症状が長引く、繰り返すのと同じイメージ…

 ・いつも鎮咳薬(咳止め薬)が効かない …花粉症に風邪薬が効かないのと同じイメージ…

 ・朝や夜咳悪化、昼間咳少ない     …喘息/咳喘息による咳はしばしば朝や夜悪化します

※1.アレルギーとは通常それほど害のない異物に対する免疫反応である。

例えば風邪は「ウイルス」というバイ菌が体に入り、それに「対抗した免疫反応(⁼正常な防御反応)」として発熱(全身炎症反応)、咽頭痛(喉の炎症)、咳や鼻水(バイ菌を排除する免疫反応)を起こします。

一方花粉症や冷気で起こるアレルギー性鼻炎は、花粉や冷気といった通常無害な異物に対する免疫反応で、くしゃみ(排除する免疫反応)や鼻水(液体でくるんで異物の侵入を防ぐ免疫反応)、鼻閉(びへい)(鼻粘膜が浮腫んで閉塞することで異物の侵入を防ぐ免疫反応)を来します。そこまで害のないと思われる花粉や冷気に対して過剰に反応する病態をアレルギー性と称するのです。

 

※2.アレルギー性咳とは?

「もし南極で深呼吸をしたら?」、おそらく全員が咳が出ると思います。これは極寒の冷気で肺が傷害されるのを防いでいる免疫反応(⁼正常な防御反応)です。しかし日本の冬季や寒暖差で日本全国民が咳が長引くか?というとそんなことはありません。花粉症の患者さんが花粉に過敏に反応してくしゃみ、鼻水、鼻閉が出るように、アレルギー性咳では通常そこまで害のない冷気や寒暖差に過敏に反応して咳(排除する免疫反応)、痰(異物の侵入を防ぐ免疫反応)を来します

 

※3.気管支喘息

 気管支喘息では気道閉塞を来たし、気道が狭くなることで、呼吸の際に「喘鳴(ぜんめい)」が聞こえることがあります。気道が狭くなる程度は様々なので常に喘鳴が聞こえるわけでなく、決して大きな喘鳴でありません。笛みたいに気道が狭くなるとやっと喘鳴を来たします。気道がすごく狭くなるので、しばしば息が苦しい、胸が詰まるような症状を伴うことがあります。喘鳴が聞こえたことがある=気道が笛みたいに狭い(とても異常な状態)=気道の病気、となり、喘鳴は喘息の診断に非常に役に立ちます。

アレルギー性咳には「(気管支)喘息」、「咳喘息」、「アトピー咳嗽」があります

症状はいずれも上記、「アレルギー性咳を疑う症状」を来します。

★気管支喘息

 長引く咳、繰り返す咳における代表的な疾患

 時折起こる「気道閉塞が特徴」であり、「喘鳴」「息苦しさ」「胸違和感」などを時に伴う際に疑うが症状が軽微で咳が主体な症状のことも少なくない。

 喘息治療薬(気管支拡張薬や吸入ステロイド)が有効

 

★咳喘息

 長引く咳、繰り返す咳における代表的疾患

 「気道閉塞が明確でなく喘息とは言えない」が喘息治療薬(気管支拡張薬)しか効かない長引く咳

 

★アトピー咳嗽(がいそう)

 長引く咳、繰り返す咳における代表的疾患

 アトピー素因(アトピー性皮膚炎や蕁麻疹、アレルギー性鼻炎)を伴うアレルギー性気管支炎

 しばしば喉かゆみやイガイガ感伴う(咽頭アレルギー症状)

 喘息とは異なり、気管支閉塞がない、気管支拡張薬無効

 抗ヒスタミン薬が有効(60%程度)

 

★参考;咳過敏性症候群(下記ブログ参照)も同様症状を来します。

 

参考資料

1)一般社団法人 日本呼吸器学会 : 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025. メディカルレビュー社. 

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