漢方のブログ

Kampo Blog

漢方医から伝えたいこと

はじめまして、4月から水曜日に漢方外来を担当させて頂いている小林瑞と申します。

新型コロナウイルスのために春はすっかり通り過ぎ、六月というのにこの暑さ、体が暦についていけませんね。

新型コロナウイルスによって私たちの生活は大きな変革を迫られました。非常事態宣言が解除になり、第二波の流行の危険迫る毎日です。

これからの生活をどうするべきか様々な分野で模索が始まっていますが、感染症の考え方について、いち漢方医として伝えたいことがあります!

まずは感染症と漢方について説明しますね。


感染症と免疫反応

 地球上には非常に多くの生物がバランスをとって存在しています。

細菌やウイルスのなかには、ヒトの身体に侵入して肺炎や脳炎などの感染症を起こすものもいます(病原体といいます)。

コロナウイルスも重症肺炎を起こす恐ろしい病原体ですが、一方ヒトの体は体内に侵入したコロナウイルスなどの病原体を攻撃して排除しようとします(これが免疫反応です)生体は発熱によりウイルスを死滅させ、痰や鼻汁のなかにウイルスを閉じ込めて、咳やくしゃみで体の外に出す、このように病原体から体を守ろうとするのが免疫反応ですが、時としてこの免疫反応は暴走してしまうことがあります。

新型コロナウイルス感染の重症例では免疫反応の暴走が起こっていると考えられています。免疫反応を調節(バランス)して、正しく病原体を排除しようとするのが漢方の考え方です。

感染症と西洋医学の進歩

 医学の歴史は太古から感染症との闘いです。19世紀に抗生物質が発見されると、肺炎やチフスなど細菌感染症は劇的に改善しました。抗生物質が効かないウイルス感染症についても、ワクチンや抗ウイルス薬(タミフルなど)が開発されました。こうして西洋医学は病原体を直接死滅させることが主流ですが、今のところ重症新型コロナウイルス感染症でみられるような免疫反応の暴走には有効な薬がありません

漢方の感染症治療

 『傷寒論(しょうかんろん)』は3世紀頃書かれた感染症の漢方書であり、現在も漢方治療で重宝されています。2000年も前に書かれたことを現代に実行するなんてばかげている!と思われるかも知れません。しかし、人類の始まりから感染症と闘っているのはヒトの免疫反応です。この免疫反応を調節することで治療しようとするのが漢方治療です。

では抗ウイルス剤のない新型コロナウイルスに有効な漢方薬は何?と思われるでしょう。それは患者さんによって違いますというのが答えです。

次回につづく・・・